C-14 立体-自由工作

4ヶ月に一度,図工ランドが普段以上に「祭り」状態になる「自由工作」。30種以上の用意された材料をどう料理するか,腕のみせどころです。1.5時間の限られた時間の中でつくるので,何をやりたいかねらいを絞って,勢いが大切。それぞれの子の世界観が表れていて,見る側も楽しい課題です。

ついに出ました。工作に強い図工ランドの課題の中でも不動の一番人気を誇る「自由工作」です。4ヶ月に1度のこの日は、工作のおまつり。「自由画ってことは来週だよね」と前週から待ちわび、いよいよその日には小走りにやってきて、自由工作の看板を見るや「よっしゃあ!」と気合いが入ります。用意された材料を使って、何を作っても何個作っても良い工作は、みんながそれぞれに好きなものを作って楽しみます。

自由とは言え、そこにはお約束があります。1つ。「あぶなくないように気をつける」。(これはいつもそうですが、特に夢中になりやすいこの日は強調しています)2つ。「持って帰れる大きさで作る」。そして3つめは一番守るのが難しい約束、「時間の中で作る」。工作好きは時間を忘れて作り続けたいので、最も厳しいお約束となりますが、時間の制約があることも、その時間をどう使うか、自分にとっての優先順位は何かを意識する経験となると考えています。人間、時間が足りないくらいの方が集中できるのでは。(これは自身の学生時代、課題の時間がたっぷりあるうちはついだらだらし、時間がなくなってはじめて大車輪で取り組むということを繰り返した過去の経験に照らしています。)それでも1時間半は大学の授業時間ほどもあり、こどもにとってかなり長い時間なのですが、皆あっという間に感じるようです。

まず授業が始まる前から、早めに来た子は今日の材料を確認します。何を作るかだいたい決めてきている子も、これから考える子も、その日の材料を見ないと始まりません。授業が始まり、最初の説明が終わると材料を取りに行きます。わくわくする時間、どうしようかなと頭をひねる時間。それぞれに作り始めてからは、皆が工作に集中し、教室が静まりかえります。講師たちは皆の様子を見ながら、必要に応じてアドバイスしていきます。終わりの時間がせまってくると、静かながら熱気は最高潮に。みんなすごい勢いで工作し、足りない材料を取りに行き、あとの時間でできることを考えながら手を動かしています。発表の時間になると、お互いの工作に興味津々。すごい作品が登場すると、こどもたちから感嘆の声があがります。発表の時間の間もまだ工作している子も、思わず目が吸い寄せられて手が止まったり、それぞれの作品に刺激を受ける様子が見られます。時間が終わってからも気になる子の作品を見に行くなど、授業の前後も含めて中身の濃い時間を過ごしているなと思います。

準備する側から言いますと、自由工作は材料オリエンテッドな工作と言えるので、何を出すのか、毎回少しずつ考えて変えています。たとえば木の材料がたくさんあると、こんな感じ。

一方カラフルな材料を意識してそろえると、できあがりもカラフルですね。同じ材料も、どの形で、どのサイズで出すかということも、こどもたちが工作しやすいように、ひとつひとつ決めていきます。これまでの積み重ねが生きる部分です。

この自由工作を展覧会に出したいなあということで、ある程度大きさがそろうように、外側を用意して実施した回もあります。「わたしのショーケース」。透明なケースをどう使うか、こどもたちの腕のみせどころ。展示スペースの関係で、それほど大きくはできませんが、それぞれの世界が作り込まれ、見応えのある展示ができました。

あらためて見ると、図工ランドのモデュロールきょうだい、まめきち君はいろいろな工作に登場しています。図工ランドの人気者ですね。

自分で考えて、作り方もくふうする、そうした自由工作では、思うようにできなかったり、途中で失敗したりすることもあります。見本をまねしてみるというやりかたも、またアリです。さらに、何かわからないけどできた、というナゾの物体もけっこう登場します。何気なく材料どうしを組み合わせて、できあがるナゾ物体たちです。作った本人にも説明はできません。そうした物体から、あっ、○○になりそうだ!という気づきが生まれることもあります。失敗も成功も含めて、そうしたことすべてが、工作の経験値をあげる大事な過程ですし、ひいては人間として色々なことに対応する力につながるのではないかと考えているのです。発表の際やおうちの方とお話するときには、結果だけではないその過程も、できるだけお伝えしたいと講師たちは考えています。

そして、講師たちにとっては、自由工作はいつにも増してこどもたちのことをより深く知るたいせつな学びの時間です。こういう工作が好きなんだ、が実感できることはもちろん、こどもたちの様子から、好きなもの、苦手なこと、どこでつまずくかなど、様々に知ることができます。また、つまずきからのリカバリーするアドバイスの方法も少しずつわかってきます。私たちの経験値も、こどもたちのおかげで少しずつあがっているようです。

体験する